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紙面から

3位静香いけるぞ逆転金!/フィギュア

フィニッシュの瞬間、満面の笑みを浮かべながら全身で喜びを表現する荒川(撮影・鈴木豊)
写真=フィニッシュの瞬間、満面の笑みを浮かべながら全身で喜びを表現する荒川(撮影・鈴木豊)

<トリノ五輪:フィギュアスケート>◇21日◇女子SP

 フィギュアスケート女子の荒川静香(24=プリンスホテル)が、逆転金メダルにかける。21日のショートプログラム(SP)ではバランスを崩した連続ジャンプをうまく修正するなど、ほぼ完ぺきな演技で観客を魅了した。右足かかと痛などのけがも感じさせず、自己ベストを更新する66・02点で3位につけた。首位サーシャ・コーエン(米国)とは0・71点差しかない。04年の世界選手権を制した時のイタリアオペラ「トゥーランドット」で、23日(日本時間24日早朝)のフリー最終決戦に挑む。

 「クール・ビューティー」と称される面影は、どこにもなかった。想像以上の高得点に荒川は目を見張り、手をたたき、瞳を潤ませた。1年3カ月ぶりの1・82点更新する自己ベスト。「完ぺきな出来ではなかったけど、ホッとしたし、びっくりした。そこまで基礎力が上がったのかと思うと、ちょっとうれしかった」。8年ぶりの五輪で味わう歓喜に、体の震えは収まらなかった。

 くぐり抜けた修羅場の数が、土壇場で力を生んだ。最初の連続ジャンプ。初めの3回転ジャンプを踏み切った瞬間、バランスを崩した。次に、つま先をつかない3回転ループを跳ぶはずだったが、「空中で」瞬時に、つま先をつく2回転トーループへと切り替えた。成功。あとはショパン作曲「幻想即興曲」のドラマチックな音楽に身を委ねるだけ。真っ赤な新衣装をまとい、全選手中最高点のスケート技術で、優雅に滑った。最後のポーズ前から満面の笑みが浮かんでいた。

 決して準備万端ではなかった。1月、合わなかった右靴を変更した際、かかとを痛めた。モロゾフ新コーチのもと重点的にこなすステップで、さらに悪化した。トリノ入り後は練習中に転倒して左肩を脱臼。それでも「考えてもやるしかないから」と愚痴はこぼさなかった。

 我慢強さは昔から変わらない。小学5年時、練習中のターンで転んだ。泣きもせず、右腕を押さえたまま静かにベンチに座った。周囲が「痛いの?」と聞いても首を横に振るだけ。診察の結果は右ひじの複雑骨折だった。それでも、手首から肩までギプスをはめながら練習に参加。3回転ジャンプも簡単に決めてみせた。

 04年のドイツ・ドルトムント世界選手権を制した時も同じだった。左太ももを肉離れし、座骨を折っていた。だが優勝。「変にプラス思考で、どこか痛めている方が慎重になっていいんです」。前日は、大好きなアイスクリームを「私には普通」というラージサイズで食べた。「キャラメルとティラミスのダブルです」。キーワードの「余裕」があった。

 SP、フリーとも1月に曲を変更し「本気で」臨んだ五輪で、逆転金メダルへ望みをつないだ。首位コーエン、2位スルツカヤとは1点も差がない。04年の世界選手権では、SP2位からコーエンを逆転して優勝している。フリーを彩るのは、地元イタリアオペラの巨匠プッチーニ作曲「トゥーランドット」。開会式で世界3大テノールのパバロッティが劇内の「誰も寝てはならぬ」を歌い、運命を感じた曲だ。「欲を出さずに、楽しんで滑りたいです」。伊藤みどり以来日本人2人目のメダルへ。そして今大会で日本勢初のメダルへ。「最後の五輪」で、荒川の集大成の幕が開く。【今村健人】

[2006/2/23/09:10 紙面から]



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