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紙面から

美姫大泣きで会見打ち切り

 トリノ五輪フィギュアスケート女子代表の安藤美姫(18=愛知・中京大中京高)が号泣した。19日の記者会見で亡くなった父に対する質問に突然泣きだし、会見もそのまま終了した。直前に本番会場で行われた公式練習では、前日(18日)に続いて2日連続で4回転ジャンプを成功させるなど、ここにきて調子は急上昇。21日(日本時間22日)の本番前に予想外のハプニングに見舞われたが、安藤は涙をぬぐい、大技で悲願の表彰台を目指す。

 安藤の瞳から大粒の涙がこぼれた。会見終了間際、テレビ局の日本人記者の質問を受けた直後だった。「亡くなったお父さんに、どんな誓いを持って滑りたいか」。予期していなかった話題に、安藤は涙声になった。「えっと…」とつぶやいた後、声を絞り出して「プライベートなので、そういう質問にはお答えできません…」。それが精いっぱいだった。キャロル・ヘイス・ジェンキンス・コーチから頭をさすられ、泣きながら会見場を後にした。

 8歳の時にバイク事故で父を亡くした。大好きだった父との思い出は、ずっと自分の胸の中だけに閉じ込めていた。形見の結婚指輪を今も胸のネックレスに通している。04年の全日本選手権の会見でも父の質問に「愛するスケートに出会えたのは父のおかげ。お父さんに空から五輪を見てもらえるように頑張っているんです」とだけ話し、涙を流した。以来、周囲も気を使って家族の話題には触れなくなっていただけに、突然の質問に安藤も意表をつかれた。

 会見は涙で終わった。しかし、直前に行われた公式練習での安藤は自信に満ちていた。4回転ジャンプに挑んだ。高く舞い上がると、右つま先から滑らかに着氷した。18日の練習でトリノ入り後8度目の挑戦で初めて4回転ジャンプを決めた。そして今回2度目の跳躍でも完ぺきに成功させた。「五輪で滑れるだけで幸せだけど、4回転が成功すればもっと幸せ」と笑みを浮かべていた。ここにきて調子は急上昇している。

 新採点方式は転倒が大きく減点される。しかし、安藤は「五輪は1回勝負。1回目でとにかく立つ練習をしている」と話す。新しく変えたフリー曲「蝶々夫人」の最初に4回転を跳ぶと決めている。フリーの自己ベストは04年NHK杯で出した119・46点で、五輪出場選手29人中5番目。ただ完ぺきな4回転ジャンプに成功し、最大7点が加わっていたと仮定すれば、コーエン(米国)スルツカヤ(ロシア)に次ぐ3番目に浮上する。そうなればメダルも見えてくる。

 どんな逆境もはね返す強い意志も備わった。米国での直前練習中は「全日本でも結果が結果で、自分はトリノに行くべきではない」と思い詰めた。逃げ出したいと、毎日泣いた。だが今は「2人でやってきたことを100%出して、それがキャロル(コーチ)の前でできたらプレゼント」と前向きに話す。

 ショートプログラム本番は21日、フリーは23日。「4回転を初めて跳んだときから五輪で跳ぶつもりだった。成功率はよくないけど、攻めるチャンスを得たのでトライしたい。もし成功したら、神様からのプレゼントだと思う」。安藤がハプニングを乗り越えて、切り札にさらなる磨きをかける。【今村健人】

[2006/2/20/06:56 紙面から]



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