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紙面から

アテネの栄光どこへ、日本まだメダルなし

 日本勢の低空飛行が深刻だ。大会9日目を終えて、まだメダルが1つもない。お家芸だったジャンプの低迷に続いて、スピードスケートも連鎖反応のような苦しい状況が続いている。大会後半で期待が持てるのは女子フィギュア、アルペン男子回転の佐々木明(24=ガーラ湯沢)ぐらいで、76年インスブルック五輪以来のメダルなしという惨敗ムードも漂う。メダルラッシュに沸いた04年アテネ五輪の勢いを引き継げなかった敗因、復活の糸口を探ってみた。

 金5銀1銅4のメダルを獲得した98年長野五輪の栄光は、完全にかすんでしまった。大会の前半戦を終えて、日本勢は沈滞ムードにあえいでいる。スピードスケート男女500メートル、女子団体追い抜きの4位が最高で、どうしても壁を突き破れない。

 大会前、メダル5個を目標に掲げた日本選手団の遅塚団長も「序盤戦で全体の勢いがつくかと思ったが、自分が描いていたシナリオとは違う」と険しい表情で言った。過去の大会で開幕後、最も遅いメダル獲得は56年コルティナダンペッツォ大会アルペン男子回転で銀に輝いた猪谷千春の6日目。今回は既に大会9日目。この後も絶対的なメダル候補はいない。76年インスブルック大会以来、30年ぶりにメダルなしの可能性は十分あり得る。

 金16銀9銅12の計37個のメダルラッシュに沸いたアテネ五輪の勢いを、なぜ継続できなかったのか。各競技の現状を探ると、幾つも課題が見えてくる。

 W杯重視のシーズン日程 競泳の北島らが明確な練習目標、綿密に計算された日程を組み金メダルを獲得したのに対して、冬季の主要競技は五輪前でもW杯の転戦が中心。疲労回復や、筋力維持の練習時間が少なくなり、そのまま五輪に突入する。毎回、反省材料に挙がるが、改善されない。

 トレーニング環境 アテネ五輪では東京都北区の国立スポーツ科学センターでの最先端の医科学的トレーニングが成功理由の1つだった。だが冬季競技は夏場から雪、氷を求めて海外遠征をするため利用期間が少ない。また競技環境から地域が限られ、北海道、長野などの強化指定設備も充実しているとはいえない。

 世代交代 各競技とも10年バンクーバー五輪を見据えて次世代を起用したが、好結果が出ていない。スピードスケート男子500メートルで世界記録保持者の加藤も初の五輪で6位と惨敗。ジュニア時代の海外での経験不足が指摘され、それをカバーするコーチやスタッフからも「敗因はメンタル面」と反省の言葉が出る。

 情報収集 お粗末だったのは国母、今井らが出場したスノーボード・ハーフパイプ。日本勢が活躍したW杯に出場してこない北米選手の存在はマークしていたが、レベルを把握しておらず、フタを開けると惨敗だった。

 強化、育成システム 長く続いた不況で、ジャンプ、スピードスケートなど主要競技の企業チームによる選手の育成が難しくなった。選手活動を続けるためスポンサー探しに苦労する選手も多い。また新興競技では指導者不足。五輪代表でも技を覚える時は選手同士で助言し合う程度で、そり系競技などマイナー競技でも深刻だ。

 不振の原因はさらにあるが、今回の五輪では選手村で日本食がない、部屋が狭い、シックハウス症候群まで発生するなど選手から不満が続出。さらに選手団の主将を務める岡崎が開幕前に風邪をひき、原田は体重に比べて長すぎたスキー板の規則違反で失格、複合の高橋は腰痛再発など自己管理や認識の甘さも指摘された。日本のメダル第1号で国際オリンピック委員会(IOC)の猪谷副会長は「自己ベストを出せずに負けていては話にならない」と苦言を呈した。

 前半戦までの競技では世界トップと差が広がるばかりだが、後半戦には安藤ら女子フィギュア陣、男子回転の佐々木らが控える。果たして救世主になれるか。【佐藤智徳】

[2006/2/20/08:01 紙面から]



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