紙面から
中国ペア、負傷再開で銀!/フィギュア

- 写真=スロージャンプで張丹(上)を投げる張昊。張丹は着氷に失敗し負傷(共同)
<トリノ五輪:フィギュアスケート>◇13日◇ペアフリー
フィギュアスケートペアで昨季世界選手権3位の張丹(20)張昊(21)組(中国)が、けがによる演技中断を乗り越えて銀メダルを獲得した。13日のフリー演技で、張丹が4回転ジャンプに失敗して氷に左ひざを強打し一時的に続行不可能になった。痛みをこらえて再開し、執念の演技で銀メダルに輝いた。日本代表で2度五輪に出場し、昨年米国籍を取得した井上怜奈(29)ジョン・ボルドウィン(32)組(米国)は7位、世界選手権2連覇のタチアナ・トトミアニナ、マキシム・マリニン組(ロシア)が優勝した。
誰もが立ち上がっていた。左ひざの激痛をこらえながら滑り続けた張丹。彼女を支える張昊。約5分間の中断を乗り越え、執念で再開した演技を無事に終えた2人に、称賛の拍手は鳴りやまなかった。
アクシデントは最初に起こった。ショートプログラム2位で迎えた最終滑走。逆転優勝を目指し、成功すれば五輪初になる大技の4回転サルコーに挑んだ。張昊に放り投げるように張丹が高く舞ったが、着氷に失敗した。また裂きのような状態で落ちて左ひざを強打し、フェンスに激突した。音楽が止まり、会場は静まり返った。張昊は「頭の中が真っ白になった」と言う。しかし顔をゆがめ、ひざを押さえた張丹はリンクから下りることを拒んだ。「大丈夫、続けられる。続けさせて」と医師に訴えた。4年に1度の大舞台。11位に終わった前回大会の借りもある。「最初のジャンプは失敗したけど、ほかの要素はできると思った」。
国際スケート連盟の規則では、けがなど不慮のアクシデントがあった場合は、最長2分間の猶予が与えられている。ギリギリまで様子を見た後、中断したところから演技を再開した。3回転など4度のジャンプは、ふらつきながらもこらえた。スピンやリフトは6つの要素で最高レベル4をマークした。残り4分間で見る者の心を打った。
左ひざをアイシングして採点を待っていた張丹の動きが止まった。フリーだけでも2位にあたる125・01点で、表現力を示す5項目も、すべてハイレベルの7点台。中国のフィギュアスケートで初の銀メダルが決まった。同情もあったのだろうが、採点に不平を漏らす者は誰もいない。張丹を抱きかかえた張昊は、涙ぐみながら言葉にならない雄たけびをあげた。「人間の極限状態の強さが見せられた」。2人は何度も、きつく抱き合った。【今村健人】
[2006/2/15/09:43 紙面から]
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