紙面から
最悪日本…遠かったメダル/ジャンプ

- 写真=決勝2本目も96メートルに終わった伊東
<トリノ五輪:ジャンプ>◇12日◇決勝◇ノーマルヒル
日本ジャンプ陣にとって最悪のスタートになった。スキー・ジャンプのノーマルヒル(NH)決勝で日本は伊東大貴(20=土屋ホーム)の18位が最高。ベテランの葛西紀明(33)は20位、岡部孝信(35)は23位に沈んだ。日本勢がこの種目で1けた順位を逃すのは92年アルベールビル大会以来という惨敗。ソルトレークシティー大会から続くちょう落傾向に歯止めをかけられなかった。金メダルは伏兵のラーシュ・ビステル(27=ノルウェー)だった。
氷点下10度の寒さがいっそう身に染みた。カクテル光線に照らされたプラジェラートの台で日本ジャンプ陣が次々と失速した。1回目は伊東、葛西ともに100メートル。トップとは4・5メートル差でメダルは射程圏にあった。微風と条件が公平な2回目。伊東は96メートル、葛西は95・5メートル。メダルは遠のいた。
縮まったかに見えた世界との差が、また開いた。出場3人全員が2けた順位。この種目で1けた順位を逃すのは92年アルベールビル大会以来。五輪ジャンプはNHから始まるが、日本勢最高18位は84年サラエボ大会の22位(長岡勝)に次ぐ最悪のスタートとなった。伊東は開口一番「すみません。いい話題を提供できなくて」と謝った。葛西は「105メートル飛べばメダルもあると思って力んでしまった。いやぁ、悔しい」と反省の弁が口をついた。
淡い期待も木っ端みじんに打ち砕かれた。1月のW杯札幌大会で伊東、岡部が表彰台、2月上旬の同ビリンゲン大会(ドイツ)でも伊東が4位に入り、流れは上向いていた。しかし、ふたを開けてみれば、1けたにも手が届かない。ユリアンティラ・ヘッドコーチは「日本はトレーニングのパフォーマンスをキープできず、各国は逆にステップアップしていた」と敗因を淡々と説明した。
2回目の進出ラインがK点を越えるハイレベルな戦い。1回目はわずか9メートルの間に30人がひしめく混戦で、わずかなミスが命取りになった。葛西は「2回目はスキー板が下がるいつもの悪い癖が出た」と悔やんだ。
結果は惨敗だった。だが、前を向く材料はある。同ヘッドコーチは「問題はメンタル面。リラックスに欠けていて、十分なパワーを出せなかった」という。裏返せば、緊張から解放されて真の実力を発揮できれば、メダル争いに絡むことは可能。W杯33勝のドイツの英雄で、今回テレビ解説者としてイタリア入りしていたバイスフロク氏は「日本は公式練習でいい結果だった。今夜は結果が出なかったが、チーム全体としては悪くない」と評価する。
競技は始まったばかり。まだ、ラージヒル(LH)、団体を残している。伊東は「今日で五輪出場を経験できた。次は楽しんでやりたい。得意のLHなんで」と雪辱を誓った。道程は険しいが、日本のお家芸復活は不可能ではない。【小林明央】
[2006/2/14/08:42 紙面から]
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