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紙面から

「愛子まだまだ滑っていたい」/モーグル

レース後、上村は友人や母の圭子さんから手渡された手作りの金メダルを抱き涙ぐんだ(撮影・鈴木豊)
写真=レース後、上村は友人や母の圭子さんから手渡された手作りの金メダルを抱き涙ぐんだ(撮影・鈴木豊)

<トリノ五輪:フリースタイルスキー>◇11日◇決勝◇女子モーグル

 フリースタイル女子モーグルの2人のヒロインが、そろって悔し涙を流した。上村愛子(26=北野建設)は、決勝で3Dエアのコークスクリュー720を決めながら5位。02年ソルトレークシティー五輪の6位から順位アップも、メダルにあと1歩及ばなかった。3大会連続メダルを狙った里谷多英(29)は15位に沈んだ。ほか日本勢は、伊藤みき(18)が決勝最下位の20位、畑中みゆき(30)は予選落ち。ジェニファー・ハイル(カナダ)が26・50で金メダルを獲得した。

 上村の表情が、次第に硬くなっていった。「自分の得点を見てやっぱりメダルはないと思った。ほかの選手のミスも神様にお願いできないし」。滑り終えた時点で2位だったが、残り4人のうち3人に抜かれた。金メダルのハイルがゴールに飛び込んだ瞬間、予選と同じ5位が決まった。

 こらえようとしても、涙が止まらない。報道陣の前でも目を潤ませながら「コークの出来はむちゃくちゃ良かった。(ターンで)ちょっとしたミスがあるのかな」と振り返った。この日のために磨いてきた第2エアのコークスクリュー720(斜め2回転)は十分な高さで決まった。ただしミドルのターンのライン取りが微妙に違った。上から左側のこぶにそれて、高野ヘッドコーチも「あのラインでスピードは出ない」と説明。エア得点は5・75で3位も、ターンは12・5で8位に沈んだ。

 トリノで、過去2回の五輪で味わった悔しさを晴らすはずだった。ともに里谷のメダル獲得で陰に隠れた。「周囲に背を向けられた気がして、寂しさに押しつぶされてしまった」。

 悔しさを晴らし、メダルを勝ち取るために04年の夏から3Dエアを練習した。ウオータージャンプで数え切れないほど水に飛び込み、雪上では恐怖心と闘った。また所属のマネジメント会社を中心にチームアイコを結成。母圭子さんもチームに加わり、この日も母のおにぎりを食べて出陣した。「小学生の時、ナイターが終わるまで滑って、ペンションのテーブルで食事をしている最中に眠り込んでいた。いつも母が抱き上げてベッドに運んでくれた。いつまでもあの時の気持ちでいたい」。1月に左ひざを痛めて緊急帰国した時も、母の励ましに涙した。

 「3度目の正直」はなかった。「長いなー。そろそろ(メダルを)もらえると思ったんだけど」と笑顔に戻って本音も漏らした。今後について「前はすぐトリノへの気持ちを切り替えたが、今は下の子のレベルも上がっている。でも愛子が選ばれるのなら、まだまだ滑っていたい」と現役続行を示唆した。19日に帰国し、地元白馬の温泉で疲れを癒やして、4年後のバンクーバー五輪へスタートを切る。【佐藤智徳】

[2006/2/13/09:34 紙面から]



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