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紙面から

怜奈メダル狙えるSP6位/フィギュア

<トリノ五輪:フィギュアスケート>◇11日◇ペアSP

 フィギュアスケート・ペアのショートプログラム(SP)で、米国代表の井上怜奈(29)がジョン・ボルドウィン(32)と組んで6位発進した。SPの自己ベスト61・27点をマークし、逆転メダルを射程圏に入れた。史上初の日米代表となり、12年ぶりに五輪にカムバックした舞姫が、13日のフリーで初の五輪表彰台を目指す。

 最後のポーズを決めるのを待っていたかのような大歓声が鳴り響いた。恋人ボルドウィンが両手で井上を指さした。「彼女に拍手を」。観客席のあちこちで星条旗が揺れた。「懐かしいなあって。この場に来られて良かった」。米国代表のイノウエが目を潤ませた。

 納得の演技だった。序盤に、男性に放り投げられるようにして跳ぶスロージャンプで、トリプルアクセル(3回転半)の大技が成功。史上初めて国際大会で成功したペアとなった。技術点は出場20組2位の35・53点。演技点が伸びずSP6位も、2人抱き合った表情は満足感に満ちていた。

 井上にとって、12年ぶりの五輪は新鮮だった。昨年9月に米国市民権を獲得。「着ているユニホームが違うなって。違う国から出ているんだ」。10日の開会式の行進で実感した。日本選手団からも声を掛けられ、スピードスケート岡崎朋美ら94年リレハンメル大会の仲間もいた。日米通算3度目の喜びをかみしめた。

 長くつらい道のりだった。20歳の97年に最愛の父が死去。翌年には父と同じ肺がんと診断された。腫瘍(しゅよう)は小さく治癒したが、薬の副作用に悩まされた。そんな時、ボルドウィンと出会った。がんを打ち明けたが「それでもいい。いっしょに頑張ろう」。パートナーの熱意が再び井上をリンクに戻した。

 4年前、持ち上げられるリフトで転落して前歯2本を折った時には、病院まで付き添い、再びリンクで歯を拾ってきてくれた。つらいときは一緒に泣いてくれた。ボルドウィンは「初めてスロートリプルアクセルを決めた組として歴史に名を刻めた」と胸を張った。

 井上は言う。「国は関係ないですね。はるばる来たかいがあった。こういうことがあると全部帳消しです」。逆転メダルは十分に圏内。五輪に戻ってきた喜びをかみしめながら、今度は表彰台を狙いにいく。【村上秀明】

[2006/2/13/07:02 紙面から]



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