紙面から
モーグルのブルーム、NFL金の卵

- 写真=男子モーグルで優勝したときのブルーム=05年2月11日
NFLの優勝を決めるスーパーボウルは5日(日本時間6日)にキックオフされるが、トリノ五輪代表でも胸を躍らせている選手がいる。フリースタイルスキー男子モーグルの優勝候補、ジェレミー・ブルーム(23=米国)だ。抜群のバネを生かし、昨季はW杯で総合優勝した。2度目の五輪出場を決め、もう1つの夢であるNFL選手を目指している。トリノ五輪の1週間後には、NFLの運動能力検査に参加する。175センチの小さな鳥人は、白い雪原から緑のフィールドへ、華麗なる転身を図る。
トリノだけではない。今、ブルームの心を熱くさせるもう1つの話題がある。スーパーボウルを頂点とするNFLだ。スキーシーズン真っ盛りの昨年12月、W杯ティーニュ大会の会場で、スキー記者たちに思いを打ち明けた。「今度こそNFLに行きたい」と。
昔からスキーとアメフトの二足のわらじだった。「2つの夢とともに生きてきた。1つは五輪に出ること、もう1つはNFLに入ることだった」。名門コロラド大では、1年からWRのポジションを獲得。しかし、企業からスキーの強化資金を受け取り、アメフトまで出場資格を失った。これをきっかけにスキーに専念。小柄な体を大きく見せる躍動的なエアで、05年は総合王者になった。成功物語は完結したかに見えた。
だが、心は満たされなかった。「表彰台の頂点に立っても、そこはスーパーボウルではない」。コブを攻めるターンは、守備選手を振り切るために磨いた技。高いエアを繰り出す跳躍力は、空中戦で競り勝てるよう鍛えたはずだった。何より、走力という最大の武器が、雪の上で生かされることはない。
そんな中、1人の選手の存在が背中を押してくれた。パンサーズWRスミスは、同じ175センチ。抜群の加速力で守備網を切り裂く小兵に、自分の姿をだぶらせた。もう迷いはない。昨夏、スティーラーズQBロスリスバーガーと自主トレを張り、第2の夢へ走り始めた。代理人ウィチャード氏は「彼の爆発的なプレーを、今のNFLは求めている」と勝算をはじき出した。
五輪の競技は2月15日。1週間後には、ドラフト候補が招待される能力検査「スカウティング・コンバイン」に参加する。「今は五輪に集中さ。でも、フットボールの話をしてくれたら満面の笑みを用意しておくよ」。多忙でアツい冬が、もうすぐやってくる。
[2006/2/6/10:39 紙面から]
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